フォーシーズンズホテル ニューヨーク

updated: 2006.11.01.

充実の収納

 友人のカメラマンが先日、101回目のパリで、地下鉄に乗っていてスリに遭ってしまったとぼやいていた。とんだ記念すべきパリだけれど、彼の情熱に、改めて頭が下がる思いであった。
 NYには、何回訪れただろうか。一時、お気に入りのシャンデリア製作工房がマンハッタンの真ん中にあって、48時間滞在という強行日程も含めて、よく通っていた。
 NY滞在で悩ましいのは、ホテルをどこにするかだ。ご存知のようにNYはホテル代が飛び切り高い。1泊300ドルぐらい出しても、こんな部屋かということがよくある。コリアンタウンなどに泊まれば安くて気楽だが、NYらしさは味わえない。ということで、デザイン系のホテルからクラシックホテルまで、毎回違うホテルに泊まる羽目になって、未だ常宿が定まらない有様だ。
 予算を気にしなければ、一番のお気に入りは57丁目にあるI・M・ペイ設計のフォーシーズンズホテル ニューヨークだ。フロントマンからコンシェルジュまで、みな気持ちいいサービスだ。部屋に入れば、GM直筆のウェルカムレターが届けられている(直接予約すれば)。一度、ジャケットを部屋に忘れてしまいジョン・F・ケネディ国際空港から電話したら、メキシコ経由で帰った私より先に自宅にフェデックスの着払いで届いていたのには驚いた。
 標準客室は約60㎡、ここから是非学びたいことがある。それは、「収納」の充実だ。まず、入口脇に奥行き78cm、高さ2mのクローゼット(通常の奥行き60cmでは毛皮のコートは収まらないので)。洗面の入口部分、日本では脱衣場に当たるが、ここに旅行鞄がふたつ広げられるラゲージスペース(奥行き56cm、幅1m55cm)。その下部には、引き出しが2列3段。インナー用のクローゼットは奥行き56cmと使いやすい深さで2ヵ所、脇には小さい棚壁も組み込まれ、実にコンパクトに納まっている。しかも、少々散らかして収納しても目立たぬよう、プラン上の配慮が行き届いている(脱帽)。
 水回りはジュニアスイートなどでもあまり変わらない。ここで着替えて、例のすぐにお湯が溜まる浴槽にも入ることができるし、夜のお出かけに向けても簡単に着替えられる。鏡の位置は、全身のチェックがしやすいように引きがしっかりと取ってあり、光も正面から当たるべく配慮されている。願わくば、アクセサリー置き場が高い位置にほしいくらいだろうか。
 翻って、日本の旅館ではスーツケースはどこに置くのだろうか? 最近のスーツケースは大きさも半端ではないことがままある。結局、布団を敷くと床の間がラゲージスペースとなり、そこから着替えを持って大浴場なり露天風呂に行くことになっていないだろうか? どこで着替えて、どこで全身を見て確認し、自分自身に暗示を掛け(自分が一番なのだと)、それから出かければよいのだろう。浴衣を美しく着こなした女性が館内を歩いてくれれば、旅館の評判がまたひとつ、上がることはまちがいない。

NYフォーシーズンズスケッチ