難解な建築基準法

updated: 2017.07.01.

難解な建築基準法。
ホテル・旅館改修時の注意点

 たまには、プロにとっても難解な建築基準法のことを解説したいと思う。ときどき、弁護士の知人からも、技術的なことと法律の内容、手続きについて教えてくれという、ボヤキとも聞こえなくもない相談を受ける。法律の専門家をしても、なお難解な建築基準法。ホテル・旅館の改修の際、とても誤解されることも多いので、大切なポイントを確認してみたい。
 前段として、新築時に「確認申請」を行政庁に提出し、竣工時に「検査済書」を受け取って、使い始められることはよく知られている。これはとても重要なことで、この証があることにより「適法建築」(違反建築ではない)が証明されているという仕組みだ。20年ほど前までは、この重要な書類が普通のはがき一枚を届けられてお終いというあっさりしたものだった。はがきをなくしてしまっていても、所轄の行政庁に行けば証明書を再発行してくれるので、不明な方は、まず、確認してほしい。
 改修時、大規模な模様替えなどは確認申請が必要だが、そうでなくても、建築基準法の制限はかかるので要注意だ。定期点検の時との整合性にも問題が発生するので、注意したい。その中でとりわけ誤解が多いのが、仕上げ・下地関係の「内装制限」で、これには厳しい順番に「不燃、準不燃、難燃、ナシ」の4種類がある。一般的には、ほとんどが制限の対象なので、使える材料は準不燃以上である。木材や和紙は、何か特殊な処理を施していないと、壁面積の10分の1以上に用いることができない。地元の間伐材を全面の貼ってあるインテリアをよく見かけるが、木材、とりわけ間伐材の準不燃認定は難しいので、ほとんどの場合が「違反建築」になってしまっている現状がある。普段は問題ないが、何かあった時には責任が発生する。
 やや難しい概念だが、建築基準法の「違反」には、「実態違反」と「手続き違反」の2種類がある。前者は、実態として内容が違反なので、当然として「是正」しなければいけなくなくなる。後者は、建築主事に「報告」することによって、それがリカバリーできることになっている。誤解を恐れずに言えば、実態に違反しなければ、手続きは後回しにして、改修してもよいという解釈も成り立つ。
 では、仕上げを自由にするにはどうしたらよいかというと、「機械排煙+スプリンクラー」という、メカニックなシステムを組むことになる。そんなことは現実的ではないので、それを回避するため、細かい緩和規定が枝葉のように張りめぐらされている。たとえば、全館を100㎡ごとに防火区画しなさいなどだ。こういうのを、海外から「非関税障壁」といわれても仕方ないと思う。結果として、精通しているのはプロだけなってしまうのは現実的に仕方ないが、遵法しなければいけないのはホテル側も同じなので、注意されたい。