夏の換気対策

updated: 2020.07.01.

エアコンは換気ゼロ。
夏の換気対策はユーモアとアイデアをもって対策を

「夏はエアコンをかけるので、換気は充分ですよね?室外機で大量に空気を吐き出しているから、入れ替わっていますよね」。「それはまったくの誤解です」。この数ヵ月、感染症専門家を含む何人ともこういう会話をして愕然とした。室外機で入れ替わるのは冷媒を介しての「熱」だけで、空気はまったく入れ替わっていない。つまり「換気はゼロ」である。改めて声を大にして言いたい。「エアコンは換気ゼロ!」。
 新型コロナのことも、世界中の研究者によって少しずつ解明されてきた。一番の特徴は、同じコロナ型ウイルスのSARSによく似ていて、「換気」が予防対策上、とても有効であるいうことだ。ちなみに、SARSは当初、「空気感染」はしないことになっていたが、最終的にはしていたというエビデンスになった。今の状況と酷似しているようだ。
「換気対策」には2つのポイントがある。一つ目は「量」。定量的な指針が定まってはいないが、衛生学会などが提言している。「量」は、換気回数=気積(室面積×高さ)が、1時間あたりに何回入れ替わるかで表される。結論から言うと、2回以上が目安である。これは3000㎡以上の商業施設が該当するビル管理法の基準値とほぼ一致する。一般的な基準では、理論値は、その3分の2程度なのだが、実情はその半分程度と推察している。当連載5月号で、現在の5割増し程度を目標に換気を増やしたいと書いたが、それを概ね裏付ける値が出てきている。
 建物により異なるが、既存システムでもできることがある。外気取入れの「自動制御をはずし」たり、「外気系統を“開”に固定」して、外気量を増やす。また、室内からのリターン量を可能な限り絞るなどだ。
 もう一つは「経路」である。空気はとても粘性が高いので、吹き出しとリターンが近いと、いわゆる「ショートサーキット」現象で、室内の空気が入れ替わらない。また、量を確保しようとして面速を上げても、その部分の空気が乱されるだけで、むしろ換気されない。ポイントは、ゆっくりとした空気の塊りとして動かすことだ。これに有効なのが「自然換気」。「玄関を開放する」のが近道だ。虫対策には、殺虫剤を意図的にたくさん吊るとか、豚の蚊遣りで蚊取り線香を焚き、熱風が入るならば氷柱の彫刻を当てて、扇風機を回したらどうだろう。対策するなら、ユーモアとアイデアがほしい。
 最後に、SARS時の香港の事例を紹介。トイレの排水管の封水が切れて、高層住宅街に感染が広がった。便器で1週間程度、洗面台では3日もすれば封水は蒸発してしまう。休業中でも週に2回ほど、少しでもいいので洗面台に水を流してください。