建築の「坪」数とは

updated: 2020.04.01.

建築の「坪」数とは?
坪は、何種類もあることを知っておこう

「坪いくらですか?」と尋ねるのは、建物を造る時の常套句である。しかしながら、実はこの「坪」は何種類も存在する。容積率対象の延床面積、延床面積、消防法の面積、施工面積、各デベロッパー独自の算定面積(三井坪、住友坪などと呼ばれる独特の算定式)。つまり、同じ建物を表現するのに、「坪」数は1割から2割ぐらい変えることが可能である。
 1坪は3.3㎡でしょ、という指摘の計算式については、概ね正しい。われわれは、割り算だと無限大になってしまうので、平米数×0.3025という式で計算している。では、「畳」はどうかというと、不動産において、公正競争規約に基き壁芯計算1.62㎡以上が1畳になっていればよいので、業者によって数%の差異が発生することへの注意が必要だ。
 かつては容積率の面積が延床面積と一致し、施工床面積との差異だけを問題にすればよかった。それが、規制緩和の名目で、マンション共用部(廊下、管理人室、集会場など)を対象から除外する動きが始まった。同じ構成のホテルの廊下やフロントは除外されておらず、その目的は住宅建設の促進という政治的意図であった。5年前からは、エレベーターのシャフト面積も容積対称面積からはずれた(延床面積からははずれていないので、登記、固定資産税の対象は以前のまま)。余談だが、固定資産税でいえば延床面積に参入されるが、デッドスペースのような部分(実は意外とある)は容積対象面積からはずれるので、図面をよく見て税務署と相談したほうがよい。エレベーターが複数ある建物では、面積的には何層も増築可能といったことが理論上起こり得るし、レンタブル比の指標も、もはや意味をなさなくなった。
 施工床面積というのは、容積率対象にエレベーターなどの除外を加え、バルコニー、屋外階段などの面積なども加える合計面積で、荒っぽくいえば、容積率対象から15%ほど大きい数字になる(コストのベースがそれだけ違う)。手前味噌で恐縮だが、私はそれを補正するためバルコニーなどには0.3を掛けたりして、実体に近い「施工床面積」を算出して施工業者と協議をしている。
 設計者も「坪」数は使い分ける。施主への説明では大きめの坪数を用いる。なぜなら、坪単価が安く見えるからだ。逆に、施工業者へは小さいほうの数字を使う。各業者さんは結局どんぶり勘定で、坪数×いくらで値を入れ、そこから導き出される「売上げ」を見据えて、見積もりを作成している。この昔ながらの仕組みは、依然として根強い。BIM(三次元で数値などを計測するシステム)が発達しても、結局は下請けの親父さんが値を入れているので、「坪」いくらで建設費用は決まっていく。