三井ガーデンホテル京都新町 別邸

ArchitectS Office
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施主
大丸松坂屋
用途
ホテル
床面積
5,528.331m²
構造
RC造
所在地
京都市中京区
建築面積
1,200.11m²
階数
地上5階  地下1階

伝統・継承・再生

人々がそれまで、培ってきた歴史・記憶・憧れを継承したいと思った。

その一つが、通りの佇まいである「大店の構え」であった。藏を有し、泰然と構える大店の姿の記憶こそが、受け継いでいきたいものであると考えた。敷地奥にあった、居宅部分の「おくど」の小屋組みの闇や、大黒柱・大きな梁は、京都らしい古い町家への記憶への憧れそのものであった。それを、エントランス部分に移築し、再現することにより、京都への憧れを意図している。

中庭を中心として、処々に坪庭が点在する空間の広がりは、京都の町家の構成そのものである。京都は、日本人にとって、特別な地だ。人々の憧れで、その佇まいを、後世に伝えていきたい。

建築の姿形を残すことのみが、伝統を継承することではない。人々が持つ、記憶・郷愁、感性に訴えるものを、新しい表現と一体化して、伝えていくことが、再生ではないかと考えた。例えば、昔の太い梁は、エントランスの天井に広がる闇に沈み、雨に打たれた石の肌合いは、新しい庭に溶け込み、人々の感性の深い部分に訴えることが出来ると思う。

そして、新しく生まれ変わった中庭の木々のゆらめきや影を見たり、隙間に点在する坪庭に苔を愛でることで、京都を実感してもらえると思う。

基本構想(実施設計 竹中工務店) 
Award:日本建築学会作品選集、GOOD DESIGN賞、京都景観賞、京都デザイン賞大賞、SDA賞