Uberの可能性
updated: 2019.08.01.
地方都市に
Uberの可能性
タクシー運転手に大きな声で叫んでいる大柄な白人カップルがいた。ごま塩頭の運転手は「プリーズ」を繰り返しながら、途方に暮れている。北関東の有名観光地の駅前での出来事だ。理由をたずねると、午前中、駅から目的地まで送り届け、帰りも呼ばれたので、駅に着いたとのこと。この街では迎車料金は駅前の営業所から掛かり、帰りの料金は行きの倍くらいになる。事情を白人カップルに説明すると、信じられない! Uberがなぜない? とご立腹だった。最後は、運転手が行きと同じ値段でいいからと折れた。日本人の私ですら、この料金システムには納得できておらず、こういうことが起きると思っていた。運転手に、会社にシステムを直してもらったほうがいいよと話した。すると、シーズンオフは本当にお客がいないので、ハイシーズンに稼がないといけないからとの答え。あくまでも企業経営者の論理だけでシステムが確立している。
Uberは、スマートフォンを利用したさまざまな注文システムのことだ。アメリカでは、主にタクシー代わりに普及している。乗客がアプリで配車を手配すると、近くにいる運転手(自家用車の素人ドライバー)が迎えに来て、目的地まで送り届ける。あらかじめクレジットカードを登録しているので、支払いはキャッシュレス。料金もタクシーの半分程度で、渋滞しても変わらない。グーグルマップを見ながらの運転で、道順を説明することなく、お客も現在位置を確認できるから安心。語学も不要だ。ちなみに、混み合っている時は料金が5割増しになることもある。古くて酷い音を立てる車が来たり、運転技術に疑問が残る運転手がいないわけではない。だが、おおむね丁寧な運転で接客も悪くない。
Uberは出前システムとして日本でも浸透しつつある。配達料金を数百円加算すれば、配達人が料理をピックアップして届けてくれる。タクシーに代わるUberのシステムは、白タクとの区分けがつかないためか、既得権益保護のためか、ごく一部の地域を除き許可されていない。
されど、あえて提言したい。地方の小都市こそ、こうしたシステムに可能性があるのではないかと。地方都市は車社会だ。繁忙期だけ、自家用車でタクシー運転手の代わりをしてもらえばよいではないか。立派な車をお持ちの方は割増料金で、軽自動車ならば格安タクシーとして。飲食店ならば、出前専門店として考えたらどうか? 元々お茶屋では、料理は仕出し屋から運ばれてくるものだったではないか。Uberで懐石料理が運ばれてくるなんて、最高ではないか。既得権益の侵害などにならない。街全体の利便性が高まれば、マーケットそのものが広がるからだ。